木造住宅の解体手順
木造住宅の解体工事は、ただ壊すだけではなく、近隣配慮・法令対応(アスベスト)・分別解体・安全管理を前提に、段階的に進めていきます。
ここでは一般的な流れを「解体前 → 工事中 → 解体後」に分けてご紹介します。
木造の解体の手順 ~解体前の準備・流れ~
① 現地調査と見積
- 解体前に、建物状況と周辺環境(道路幅・搬入経路・隣地状況)を確認します。
- 必要に応じて、足場・養生計画、重機搬入可否、搬出経路なども含めて検討します。
- アスベスト(石綿)事前調査を行い、該当があれば適切な手順・費用を見積へ反映します。

② 近隣への挨拶
- 工事前に近隣へ挨拶を行い、工期・作業時間・騒音や振動の可能性を事前にお伝えします。
- 近隣対応は、工事を円滑に進めるうえで重要な工程です。
③ ライフラインの停止(電気・ガス・ネット等)
- 電気・ガス・インターネット等は、施主様ご自身で各契約会社へ連絡していただきます。特にガスは、業者による閉栓作業が必要です。
水道について
- 工事中は粉じん対策の散水で水道を使用することがあるため、基本は使用できる状態にしておきます。なお、現場条件や季節によって対応が変わる場合がありますので、事前に当社へご相談ください。
④ 残置物の撤去(手作業)
- 「残置物」は、施主様の責任で処分するのが原則です。
- 個人で処分する場合は「一般廃棄物」として処分できます。
- 解体業者へ処分を依頼する場合は「産業廃棄物」として扱われ、一般廃棄物より処分費が割高になることがあります。そのため、残置物は解体前にできるだけ処分しておくことをおすすめします。
木造の解体の手順 ~解体工事中の流れ~
① 内装材・付帯物の撤去と分別(手作業|目安:1~2日)
- 畳、内装ボード、床材(フローリング・カーペット等)、天井材
- 窓ガラス、建具・造作(室内ドア・襖・障子・カーテンレール・手すり等)
- 軒天、破風板、鼻隠し
- 浴室(タイル・モルタル下地等)
- 設備類(照明器具、エアコン、換気扇、レンジフード、給湯器、配管、分電盤・配線等)





② 足場・養生の組立て(手作業|目安:1日)
- 粉じん飛散や落下物対策として、足場・養生シートを設置します。
- 周囲の状況に応じて、養生の範囲や仕様を調整します。


③ アスベスト処理(石綿含有材がある場合)
石綿含有材が確認された場合は、飛散防止を最優先に、関係法令と手順に沿って「隔離・撤去・分別・処理」を行います。
外壁塗装剤(ケレン工法)
- 事前調査結果をもとに、該当範囲を特定します。
- 必要に応じて、湿潤化(散水)しながら撤去し、飛散を抑えます。
- 撤去材は他の廃材と混載せず、区分して保管・搬出します。







軒天(ケイカル板等)
- 破損・割れが起きやすい部位のため、手作業で丁寧に取り外します。
- 落下や破砕が起きないよう、支持・受けを確保して撤去します。
- 撤去材は密閉・表示のうえ、適切に保管・搬出します。






台所(天井材・下地材等)
- 室内側は粉じんが拡散しやすいため、隔離・養生を徹底します。
- 必要に応じて、局所排気や集じん機器を使用し、飛散を抑えます。
- 撤去材は他の内装材と分けて管理し、適切に処理します。



補足
- 石綿含有材の撤去は、現場条件・材種・工法により手順が変わる場合があります。
- 作業区画・表示・搬出方法などは、状況に応じて適切に計画します。
④ 重機の搬入
- 搬入経路と安全を確認し、重機を現場へ搬入します。
- 前面道路や隣地状況によっては誘導員配置などを行います。

⑤ 躯体の解体(目安:2~4日)
木造躯体を段階的に解体し、解体材は分別しながら搬出します。




⑥ 足場・養生の払し
- 大きな解体が完了した段階で、順次足場・養生を撤去します。
- 周囲の安全を確認しながら作業します。
⑦ 解体材の分別(手作業)と片付け(目安:1日)
- 現場内の最終分別、積込み、搬出を行います。
- 廃材を混載せず、品目ごとに管理します。

⑧ 基礎・外構の解体撤去(目安:1~2日)
- 土間、浴槽下のコンクリートなどを撤去します。
- 基礎杭がある場合は、引抜作業を行います。
- 外構(カーポート・物置・フェンス・門扉・ポスト・表札・ブロック塀等)
- 庭まわり(樹木・庭石・砂利等)




⑨ 整地と転圧(目安:1日)
- 解体後の地面を整え、必要に応じて転圧を行い、次工程へ引き渡せる状態に仕上げます。


⑩ 重機の搬出
- 最終確認後、重機を搬出し、工事完了となります。

木造の解体の手順 ~解体後にすること~
① 解体後の現場を確認し、引き渡し
- 境界付近、地中残置物の有無、整地状態などを確認し、引き渡します。
② 滅失登記の申請
- 解体後は、建物がなくなったことを登記上も反映させるために、滅失登記の申請が必要です。
いつも注意しているポイント(安全・近隣・品質)
- 粉じん対策:散水・養生を徹底し、飛散を抑えます。
- 騒音・振動の配慮:作業時間の遵守、工程の説明、必要な掲示を行います。
- 分別解体の徹底:木材・金属・コンクリート・ボード類など、品目ごとに分別して搬出します。
- アスベスト対応:事前調査を行い、該当時は法令に沿った手順で対応します。
- 安全管理:足場・立入禁止措置、重機作業時の誘導、落下物対策を徹底します。
- 地中確認:整地前に、地中残置物がないかを確認します(状況により追加対応が必要な場合があります)。
よくある質問(FAQ)
Q1. ライフライン停止の連絡は、いつ・何を伝えればいいですか?
各契約会社へ連絡する際は、工事がスムーズに進むように、次の点を確認しておくと安心です。
- 停止(撤去)の希望日:解体工事の着工日より前に設定します。
- 立会いの要否:ガスは立会いが必要になることがあります。
- 機器返却の有無:ネット回線などはルーター等の返却が必要な場合があります。
※ガスの閉栓日は混み合うことがあるため、日程が決まり次第、早めの連絡がおすすめです。
Q2. 残置物はどこまで片付ければいいですか?
目安は「建物の中を空にする」イメージです。
残置物の例:
- 大型家具:タンス、食器棚、ソファ、ベッド、机・椅子、本棚 など
- 家電:冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジ、炊飯器 など
- 生活用品:衣類、布団、カーテン、日用品、ストック品(洗剤・紙類) など
- キッチン周り:食器、鍋、調味料、油類、食料品、瓶・缶 など
- 書類・貴重品:写真・アルバム など
- 物置・屋外:工具、タイヤ、除雪道具、園芸用品、灯油ポリタンク、塗料 など
- 処理注意品:スプレー缶、電池、蛍光灯、ライター、薬品、灯油類 など
撤去のコツ(スムーズに片付けるために)
- 家電リサイクル品(冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン等)は回収方法を事前に確認しておくと安心です。
- 食品・調味料・油類は早めに整理。瓶・缶・油は自治体ルールに合わせて処分します。
- 物置・屋外は忘れがちなので早めに確認。灯油・塗料・スプレー缶は特に注意して分別します。
Q3. 工期はどれくらいかかりますか?
工期は、建物の大きさだけでなく、現場条件や作業方法によって変わります。目安としては7日~10日程度となることが多いです。
工期が延びやすい主な要因:
- 残置物の撤去を依頼される場合残置物の種類・量により
- 手作業の工程が多い(内装材・付帯物の撤去、分別解体、仕分け搬出など)
- 敷地が狭い/前面道路が狭いなどで、重機の搬入や作業スペースの確保が難しい
- 重機が入りにくい場合:躯体(柱・梁・骨組み)の解体も手作業が中心になり、解体材の搬出(トラックへの積込み)も手作業になることがある
- 外構・庭石・樹木などの撤去範囲が広い
- アスベスト(石綿)対応が必要(手順・養生・分別・搬出管理など工程が増える)
※現地調査のうえ、現場条件に合わせて工程計画をご案内します。
Q4. 解体後に必要な手続きはありますか?
解体後に代表的な手続きとして、建物の滅失登記があります。建物がなくなったことを登記上も反映するための手続きで、解体後の「引き渡し確認」とあわせて進めます。
申請方法は大きく2つ
- ご自身で申請する:管轄の法務局で手続きする方法(窓口)と、環境が整っていればオンライン申請の方法があります。
- 土地家屋調査士へ依頼する:書類作成や申請手続きをまとめて任せられるため、忙しい方や手続きに不安がある方に選ばれています。
代理申請について
滅失登記は「表題部」に関する登記のため、代理人として申請できる専門職は土地家屋調査士です(※ご本人申請も可能です)。
※必要書類や進め方は物件・登記状況によって変わる場合があります。手続き方法に迷う場合は当社へご相談ください。